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未公開株とは
未公開株とは、証券取引所に上場・公開していない企業の株式のことです。
「非公開株」や「プライベート・エクイティー」とも呼ばれます。未公開株は、そのほとんどを創業者やその親族、企業の取引先(関連企業)、ベンチャーキャピタルが保有しています。
未公開株は、株式公開されていないため証券取引所で売買することはできませんが、当事者間での売買が可能となっており、一部の証券会社でも取り扱っているところがあります。
ただ近年、未公開株投資を装った投資詐欺も急増しているので注意が必要です。
未公開株が儲かる理由
未公開株の中には、業績が良く、上場間近の銘柄がある場合が少なくありません。
上場間近の未公開株を買うことができれば、証券取引所で売買されている一般的な銘柄とは比べものにならないほどの利益が出ることもあり得ます。
また、現在多くの投資家はIPO投資に熱を上げています。IPO投資も期待値が高い投資として有望ですが、既に多くの個人投資家に情報が行き渡ってしまっているため、当選確率は数%に過ぎません。
一方、未公開株投資はまだ多くの投資家に知られていないため、一攫千金のチャンスがIPO投資よりは高いと期待できます。
未公開株は詐欺?怪しい勧誘を受けたときにどうする?
よくある詐欺のケース①
最もポピュラーな未公開株詐欺としては、複数の業者が裏で協力することで信用させて金銭を騙し取ろうとする劇場型詐欺が挙げられます。
具体的には、次のようなケースです。
業者は実在する証券会社を騙り、「あなたの所に、○○社の未公開株に関する書類が届いていませんか?書類が届いたら、当社に連絡してください。購入価格より高く買い取りいたします」といった連絡がきます。
後日、実在する別の証券会社からも同じ内容の連絡が届き、証券会社各社で同じことをしているものと信じ込ませてきます。そして、○○社から未公開株に関する書類が届き(もちろん、業者が送ってきたものです)、証券会社に転売して利益を得ようと考えて、未公開株の購入を申し込み、証券会社に購入代金を支払ってしまいました。
しかし、その後、○○社とも証券会社とも連絡不能に……。
未公開株投資を装った劇場型詐欺は、近年、高度化・組織化しつつあるオレオレ詐欺の一種であり、金融資産を多く持つ高齢者が狙われやすいので注意が必要です。
よくある詐欺のケース②
未公開株の勧誘のために名義貸しを依頼して金銭を騙し取ろうとする名義貸し型の詐欺も横行しています。
具体的には、次のようなケースです。
実在する証券会社から、「あなたに、□□社の未公開株を購入する権利が当たっている。興味がないのであれば、その権利を譲って欲しい」という連絡がきますが、怪しかったため断ります。
後日、再び証券会社から、「あなたの名義を借りて、300万円で□□社の未公開株を買った。□□社から連絡があったら、あなたが購入したことにして欲しい。そのお礼に商品券を送付します」という連絡がきました。
自分自身でお金を出したわけでもなく、「商品券が貰えるのなら……」という甘い気持ちで、この要求に了承してしまいます。
後日、□□社から「あなたは未公開株の購入で名義貸しという違法行為を行ったので訴えます。訴えられたくなければ、すぐに購入代金を振り込んでください」という連絡が入り、恐くなって購入代金を振り込んでしまいました。
しかし、その後、□□社とは連絡不能に……。
よくある詐欺のケース③
一度詐欺に遭った人の心理に付け込んで、もう一度詐欺話を持ち掛ける被害回復型の詐欺も横行しています。このケースは未公開株投資を装う詐欺でも少なくないため、注意が必要です。
具体的には、次のようなケースです。
以前、未公開株詐欺に遭った被害者に、「あなたが取引したはずの未公開株の取引が行われないままなので返金いたします。返金手続きは△△社が行います」という連絡がきます。
後日、△△社から「返金額を振り込む予定でしたが送金できません。送金するためには弊社に保証金を支払う必要があります」という連絡がきました。怪しいとは思いましたが、保証金を振り込んでしまいます。
しかし、返金は実行されず、今度は返金対応を引き継いだとする別の◇◇社から「あなたの返金について、○○銀行に一任しました。審査に手数料が掛かります」という連絡があり、高額の手数料を振り込んでしまいました。
その後しばらくは◇◇社と連絡を取り合っていましたが、ある日突然、全ての会社と連絡不能に……。
未公開株の詐欺に合わないようにする方法
未公開株を販売できるのか、公募増資で確認する
未公開株の詐欺の多くは、「この未公開株はもうすぐ上場して、多額の利益を得ることができます」といった儲け話で揺すぶってきます。
しかし、本当にその未公開株が上場間近なのであれば、その会社が上場手続きを取っているのかなどの情報を調べることで詐欺を防ぐことができます。
特に注目すべきなのは、その未公開会社が公募増資を行っているかどうかです。
公募増資とは、企業が新たに株式を発行するに当たり、不特定多数の投資家に対して株式取得の申し込みを募集することです。未公開会社が証券取引所に上場する際には公募増資を行うことが多いため、その会社が公募増資を行っているかどうかを調べることは詐欺の防止に繋がります。
企業が公募増資をする際には、金融商品取引法に基づき、「有価証券届出書」を内閣総理大臣宛てに提出する必要があります。
この書類の提出の有無については、金融庁ホームページ「EDINET「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」」から確認することが可能です。
未公開株に譲渡制限がかかっていないか
多くの未公開株には、株式譲渡制限が掛かっています。
株式上場・公開していない多くの会社は、その会社と面識がない者が株主になることを嫌うため、会社が認めた人にしか株式を譲渡できないようにしているのです。
株式譲渡制限が掛かっている株式を取得した場合は、その会社に「譲渡を承認するかどうか」の判断を求める必要が出てきます。会社が承認しなければ、その株は取得できないことになります。
これは会社法137条で決まっているものであり、一切の例外はありません。
未公開株の詐欺では、この情報を隠して架空の未公開株を売りつけてから、お金を騙し取る詐欺が横行しています。未公開株の取得を持ち掛けられたら、その未公開株に譲渡制限が掛けられているかどうかを必ず確認しておきましょう。
譲渡制限が掛けられているかどうかは、会社の定款で確認することができます。未公開会社の会社の定款を取り寄せるなどの作業は多少面倒かもしれませんが、ちゃんと確認しておきましょう。
未公開株を売ることができる人から購入しているか
証券取引所に上場している株なら証券取引所を通じて誰でも売買可能ですが、未公開株は誰でも販売できるわけではありません。
未公開株の販売を許可されているのは、未公開株の発行会社や第一種金融商品取引業者の登録を受けている金融商品取引業者(主に証券会社)に限られています。
また、未公開株が買える市場は「グリーンシート」と呼ばれており、そこで取引される未公開株は「グリーンシート銘柄」と呼ばれていました。未公開株の販売で勧誘行為が許可されているのはグリーンシート銘柄だけであり、グリーンシート銘柄以外の未公開株の勧誘は全て違法となっていました。
しかし、グリーンシート銘柄制度は2018年3月31日をもって廃止されることになりました。そのため、今後、未公開株の詐欺が横行することも考えられるため注意しておきましょう。
グリーンシート銘柄制度が廃止されたとはいえ、未公開株の販売を許可されているのは発行会社と一部の証券会社のみであることに変わりありません。
未公開株は、販売が許可されている所から買うように心掛けていきましょう。
万が一詐欺にあってしまった場合の相談窓口一覧
- 警察
未公開株被害が詐欺罪(刑法246条)に該当するということであれば、警察に被害届を出して動いてもらうことも考えられます。
- 消費者センター(国民生活センター)
消費者センターや国民生活センターですが、ここにも未公開株についての相談が多く寄せられています。
- 弁護士
警察がなかなか被害届を受理してくれない、被害額が大きく早急に何とかしたい、といったような場合には、弁護士に相談することが近道です。
- 日本証券業協会
日本証券業協会では、「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンターを設置し、未公開株詐欺被害についての相談も受け付けています。ただ、具体的に返金を求めるための措置を取るためには、警察や弁護士への相談が近道です。
未公開株詐欺にあってもお金は取り戻せるのか?
未公開株詐欺にあってしまった場合は、もちろん原則として詐欺業者に対して返金を求めることは可能であり、詐欺業者が捕まった場合には返金される可能性があります。
しかし、現実的に考えると、詐欺業者が摘発される可能性は極めて低く、未公開株詐欺にあったお金が戻ってくる可能性は絶望的であると言わざるを得ません。そのため、残念ながら、未公開株詐欺にあってしまったら、泣き寝入りするしかないというのが現実です。
また、未公開株詐欺の手口として被害回復型の詐欺も横行しています。警察や行政からの連絡を装った未公開株の返金詐欺にも気を付けましょう。
未公開株に関する正しい知識を身に付けて、未公開株詐欺にあわないことが何よりも重要です。
未公開株の購入はインサイダーにあたる!?
上場会社の関係者や情報受領者が、その会社の株価に大きな影響を与える重要な情報を知って、その情報が公表される前に有価証券の売買を行うことをインサイダー取引といいます。
インサイダー取引は証券取引法違反に該当し、証券取引取法第166条により「3年以下の懲役・若しくは300万円以下の罰金」が課せられます。
「未公開株の購入はインサイダー取引にあたるんじゃないか?」と心配される方も多いかと思いますが、安心してください。未公開株の販売が許可されている業者から未公開株を買うだけでインサイダー取引にあたることは絶対にありません。
ただ、自らがその未公開企業の関係者であり、重大な情報を握っているような希少なケースの場合は、インサイダー取引に該当する可能性があるかもしれません。
金融庁もインサイダー取引を、「上場会社等の会社関係者(含、会社関係者でなくなった後1年以内のもの)が」行うものと定義しており、“上場会社等”となっているため、解釈次第では未公開企業でもインサイダー取引にあたる可能性があります。
なお、インサイダー取引を装った投資案件の話は、その話が本当だったとしたらインサイダー取引にあたり、詐欺だったらお金を取られるだけです。絶対に乗らないようにしておきましょう。
未公開株の購入方法
証券会社からの勧誘
未公開株は、一部の証券会社で購入することが可能です。
しかし、証券会社の勧誘で未公開株を購入するのはあまりおすすめできません。なぜなら、証券会社で未公開株を買う場合は、手数料が高額に設定されているケースが少なくないからです。
また、証券会社が積極的に勧誘する金融商品というのは、未公開株に限らず、「証券会社が売りたい金融商品」であることが多いです。
本当に美味しい未公開株を、証券会社が進んで勧誘・営業するはずがないのです。
なお、証券会社が未公開株の勧誘を行えるのはグリーンシート銘柄に限定されていましたが、2018年3月31日をもってグリーンシート銘柄制度は廃止されています。
今後、詐欺業者による証券会社を装った詐欺案件が増えることが予想されますので、注意しておきましょう。
知り合い・友達づてからの勧誘
知り合いや友達づてから、未公開株を買うように勧誘されることもあるかと思います。
ただ、このような案件は、よほど信用や信頼がおける知り合いや友達でない限りは断った方が賢明であると言えます。また、もしもその知り合いや友達が未公開株の関係者だった場合は、将来的にインサイダー取引に問われるリスクを負うことも考えられます。
お金の話で大切な人間関係が壊れてしまったという話には枚挙にいとまがありません。その人間関係が大切であればあるほど、このような話には絶対に乗らないようにしましょう。
未公開株の購入は、知り合いや友達からの勧誘で買うのではなく、信頼のおける業者から買うように心掛けていくことが何よりも大切です。
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