ソーシャルレンディングとは

市場規模爆上げ中のソーシャルレンディングについてわかりやすく解説

 

近年、銀行の低預金よりも高利回りを得られる新しい資産運用方法として注目を集めている「ソーシャルレンディング」をご存知でしょうか?

ソーシャルレンディングが誕生して、まだあまり年数は経過していないのですが、
世界最大の経済大国アメリカでは既に市場規模は2兆円を超えていると言われており、さらに2025年には15兆円を超えると試算されています。

このように、海外では既に新しい資産運用の形として一般的ですが、日本国内において人気が集まったのは最近のことなので、ソーシャルレンディングに関して詳しく知らない方も多いと思います。

そこで今回は、ソーシャルレンディングについて、資産運用初心者の方でも分かるように、時には絵を交えてやさしく解説します

 

 

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングを簡単に説明すると、お金を貸したい人(企業)と、お金を必要としている人(企業)の橋渡しを行うインターネットサービスです。

創業や事業拡大等で一定の資金を必要としている事業主が、ソーシャルレンディング事業者に融資希望の申請を行います。するとソーシャルレンディング事業者は、申請された案件の将来性、リスク、事業主自体の信用度を細かく審査します。
この事業主であればお金を融資しても無事に返済される可能性が高い、と判断された事業案件のみ、投資希望者に対して公開されます。
投資を希望する人は、公開された案件の中から好きなものを選択し、ソーシャルレンディング事業者に対して投資を行います。
そして、ソーシャルレンディング事業者は、投資者から預かったお金を事業主に渡し、事業主は事業を展開。融資して貰ったお礼に毎月利子をソーシャルレンディング事業者に返済し、その中から手数料を引いたお金が投資者に利益配当される仕組みです。

資産を増やしたい人が事業資金を集めたい人に投資し、無事事業が成功したあかつきには、利子を含めて投資した資金を返済して貰う。貸手と借手の両者が共にハッピーになれるサービスとして、近年非常に人気を集めています。

 

 

ソーシャルレンディング誕生と歴史

ソーシャルレンディングは2005年、世界に先駆けてイギリスでスタートしました。
翌2006年にアメリカで、さらに2007年には、イギリス・アメリカ以外の欧米や、韓国や中国でも続々と始まります。
2008年にやっと、海外に後れをとる形で、日本でもソーシャルレンディングサービスが開始されました。

ソーシャルレンディングが誕生した背景には、自分で事業を立ち上げる夢を抱いたドリーマーの存在が大きいと思われます。
会社を立ち上げて事業を行う場合、まず必要になるのがある程度まとまった資金です。貯金がある方は良いですが、足りない場合は親や親戚からの借金、銀行等の金融機関から借り入れを行うのが一般的です。
ですが、創業資金を金融機関からの借り入れで調達するのは容易ではなく、融資担当者にどれだけ熱く事業プランを語っても、実績もないビジネスに大金を貸してくれることは少ないでしょう。

このように、何か事業を行いたくても自己資金が足りない人にとっての救世主としてソーシャルレンディングは誕生し、急速に発展していきました。

 

 

国内ソーシャルレンディング市場規模

 

日本では2016年から2017年にかけて2倍以上に伸び、さらに2022年には13.8倍の9000億円に達すると試算されています

ではなぜソーシャルレンディングでの資産運用がここまで活発に行われているのか、その人気の理由をより深く考えてみましょう。

 

 

どうしてソーシャルレンディングが人気?

理由1:銀行預金の低金利が原因

 

現在、三菱UFJ品行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行などに代表される大手銀行の定期預金年利は、0.1%以下がほとんどです。
仮に100万円を1年預けると仮定した場合、1年後に貰える金利は1000円しかありません

ちなみに日本経済が絶頂だったバブル時代は、郵便局に定期でお金を預けると、貰える金利はなんと8%もあったようです!

これに対してソーシャルレンディングは、募集案件によって異なりますが、5%~10%の利回りも珍しくありません。
仮に年利10%の配当が貰える案件に10年間投資すると、10年後には投資した資金がなんと2倍に増える計算になります。

ソーシャルレンディングはバブル時代に貰えていたような配当が得られる、というのが人気の理由の一つです。

 

理由2:借手を自由に決められる

次の理由として考えられるのは、貸手の自由度が高いことです。
この点について、分かりやすくするために図を使って説明してみます。

 

銀行の場合

 

上記の図のように預金者は銀行にお金を預けて、銀行は預金者のお金を使ってお金を借りたい個人や企業に対して融資を行います。
銀行が貸金事業で得た収益から、預金者に利子が配当される仕組みになっています。
ですが、預金者は、銀行が預けたお金をどこの誰に融資しているか全く知らされず、意見をする権利もありません
さらに、現在は超低金利の時代なので、銀行に預けるメリットは、資産運用的観点ではほとんどなく、タンスに保管するよりも安全な点くらいです。

 

ソーシャルレンディングの場合

 

上の図の仕組み通り、ソーシャルレンディングは、お金を貸したい相手を自由に選択できます
またそれぞれの事業主によって、お金を投資する期間や年利、担保の有無など条件が違います。それらをじっくり考えて納得した上でお金を出すことができるので、銀行預金と比べると、貸手の自由度が極めて高いと言えるでしょう。

 

 

ソーシャルレンディングの詳細

ここまでソーシャルレンディングについて解説してきましたが、実際に投資を行うためにはもっと知っておくべき事があるので、さらに詳しく紹介していきます。

 

ソーシャルレンディング事業案件の種類

実際に資金を募集している事業内容は、不動産、動産、事業者、太陽光発電、海外事業案件などが主な種類です。

不動産案件は、担保として収益の核となるマンションやアパート等物件そのものが設定されることが多く、万が一の際のリスクを軽減します

動産案件は、商品を販売する案件で、こちらも商品自体が担保として設定されることが一般的です。

事業者案件とは、事業を始めて日が浅く、事業を大きく展開したくても、実績が足りないため銀行からの融資を受けられない、フレッシュな事業が多くなっています。
銀行は、事業の将来性よりもこれまでの実績を重要視しますが、実績がないからといって、必ずしも成功しないとは限りません。その事業が上手く行くかどうか、独自に調べて判断してみると良いでしょう。

太陽光発電案件は、文字通り太陽光で発電した電力を売却した際に得る利益によって、配当を分配するケースです。
電力の買取価格は定められた価格から変動することほとんどないので、手堅い案件の一つと言えます。

最後に紹介する海外案件は、日本以外の国で行われる様々な事業案件に投資を行います。
国内の案件と比べると金利が高いことでも知られ、10%を超える案件も多く見つかります。

 

ソーシャルレンディングにおけるリスク保全

銀行は、万が一破綻した場合も最大1000万円まで保証されます。

一方ソーシャルレンディングの場合は、事業に投資を行いますが、必ずしもその事業が成功して約束された配当があるとは限りません。場合によっては、事業が上手く行かないこともあり得ます。
そうなると、出資した資金が全て返ってこないことも想定されますが、案件によっては事業者が不動産などの担保の設定や、連帯保証人を用意しています。
担保や保証があれば、万が一の場合でも安心して投資できます

 

ソーシャルレンディングの運用期間

お金を出す側としては、金利と並んでもっとも気になるポイントが運用期間ではないでしょうか?

期間は短い案件で2~3か月、長い場合は2年から3年のものあります。
ソーシャルレンディング事業会社を調べてみると、短い案件で半年、長い案件で2年位が相場になっています。
また元本については、多くの案件が運用期間終了時に一括払いで返済され、分割払いの案件は少ないです。
尚、運用している間は途中で解約は出来ないので、長期間投資するのが不安な方は、期間が短い案件を選んで投資すると良いでしょう。

 

ソーシャルレンディングの投資先情報

事業案件に投資する際に、その事業の収益構造、ビジネスモデル、利回り、担保の有無等は公開されますが、事業者の氏名、住所等は法律で開示されないようになっています。

もしそう言った情報を公開してしまうと、ソーシャルレンディング事業者を飛び越えて、直接お金を投資したい人が事業に殺到するでしょう。
事業主のプライバシーやソーシャルレンディング事業者の利益を守るためにも、開示は禁止されています

 

ソーシャルレンディングへ投資するための条件

 

銀行への預金と違い、ソーシャルレンディングは誰でも投資できる訳ではありません。
実際にソーシャルレンディング事業者が募集している事業案件に投資したい場合には、いくつか条件を満たす必要があります。
それは、まず成人(20歳以上)であることです。
銀行口座と違って、親が子供のために代わりに投資することは出来ません。
また、年齢には上限もあり、事業者によって異なりますが、75歳~80歳未満の場合が多くなっています。

それ以外では、日本国内に住んでいるかどうかや、過去の犯罪歴や反社会的勢力に属するかどうかも審査されます。

他にも、事業者によって基準がバラバラですが、年収や資産が少な過ぎる場合は、投資ができないと判断される可能性もあります

 

 

まとめ

ソーシャルレンディングは、銀行に預けるよりも遥かに金利が高く、事業案件も自由に選べることから、近年爆発的に市場規模を拡大し続けています。

銀行に預金すること自体も100%の元本の保証がある訳ではなく、ある意味では銀行に投資していることになります。
同じ投資をするのであれば、自分にとって興味がある、将来性があると納得できる事業に対してお金を出したい心理が、ソーシャルレンディングの人気を後押ししているのではないでしょうか?

ですが、投資にはリスクは付き物なので、ソーシャルレンディングに投資する際は、お金を支払う前に、運用期間の長さ、担保や保証の有無、事業内容をしっかり確認、分析した上で行うことをおすすめします。

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