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ソーシャルレンディングにおけるリスクとは
マイナス金利時代に「お金を銀行に預けていてはもったいない」ですよね?
近年投資がブームになっています。株式・FX・仮想通貨・不動産などいろいろな金融商品があります。その中でも注目されているのが「ソーシャルレンディング」です。別名クラウドファンディングとも呼ばれています。
なぜソーシャルレンディングが注目を集めているのか?それは株式やFXのようなハイリスクではなく、銀行の定期預金ほどの低リターンでもない「ミドル」な投資であることが挙げられます。
ソーシャルレンディングでは一般的にリターンは5~15%(年利)あたりが普通になっています。銀行預金と比べたらかなりのハイリターンです。そのリターンを得る代償として「リスク」が存在しますが、担保が設定されている案件が多いため投資リスクはかなり限定されているのが特徴です。
そんなソーシャルレンディングですが、やはり「リスク」は存在します。今回はその「リスク」をご紹介していきたいと思います。
ソーシャルレンディングの詐欺リスク
詐欺リスクとは
ソーシャルレンディングにも詐欺リスクは当然存在します。
今でも問題の渦中にある「みんなのクレジット」は行政処分を2回も受けて、現在も再開のめどが立っていません。
みんなのクレジットが何を行ったのか?投資家から集めた資金を、親会社に流用していたのです。また、担保も記載とは違い、実際は担保たる不動産や有価証券などを確保できていなかったことも挙げられます。また、新規に投資家から集めた資金をそのまま償還に充てるなどの「自転車操業」も発覚しました。
そしてみんなのクレジットは行政処分を受けてから1年以上経過した現在でも再開していないどころか、債券を他社に売却してしまいました。これでは元金の返還の返還も高確率でないと思われます。
詐欺リスクの対処法
こういった詐欺にあった場合、高確率で元本も返還されることは難しくなります。では、大切なお金を守るために、どのような対策を取ればよいのでしょう。
まず、しっかりとした運用会社に投資することが大事です。企業の資本金・経営者の経歴や実績・企業の過去の業績(運用成績)・登録免許の有無は必ず最初にチェックするようにしましょう。
先ほど挙げたみんなのクレジットですが、最初から「怪しい」と言われていました。なぜなら経営者が株式投資ではおなじみの「白石」一族だったからです。株式でも、しょっちゅう株主無視のリスキーな錬金術を行っていました。
お金を入金するだけではなく、自分でしっかりと運営会社を調べることが大事です。
ソーシャルレンディングの元本割れリスク
元本割れリスクとは
ソーシャルレーディングは元本が保証されていない金融商品です。ですから、状況によっては元本割れのリスクがあります。しかし、運営会社によりますが、過去の運用実績をみるとめったに元本割れすることはありません。
ではどのような時に元本割れが起きるのでしょうか。まず、運営会社が倒産した場合にはみんなのクレジットのように元本は戻ってきません。
また、為替リスクのある商品の場合、為替相場の状況によって、元本割れするリスクがあります。例えば、投資した当時1ドル120円だったものが償還時期になって1ドル100円になっていた場合は利息が付いたとしても、元本割れすることになります。
ほかにも投資先の企業が倒産した場合も元本割れの原因に挙げられます。
元本割れリスクの対処法
ソーシャルレンディングで元本割れのリスクを防止するためには、いくつかの防止策があります。
1つ目は運用会社自体を厳しく選択することです。過去に元本割れを出していないことはもちろんのこと、投資審査が厳しいことも大事なチェック・ポイントになります。
2つ目は分散投資をすることです。1社に全額投資するのではなく、複数のソーシャルレンディング会社に投資することでリスクが軽減することができます。
3つ目はできるだけ元利均等返済型の案件を選択することです。元利均等返済型の案件の場合、元本も利息とともに毎月償還されてくることになります。投資の期間が長くなれば、それだけ元本も返済されるシステムになっています。ですから元本割れのリスクを大幅に軽減することができます。
ソーシャルレンディングの貸し倒れリスク
貸し倒れリスクとは
ソーシャルレンディングでは、投資家がソーシャルレンディング会社を通じて、投資先の企業に貸付をします。
企業に貸し付けるということは、当然その企業が倒産でもすれば、投資家は投資した資金の回収が難しくなります。投資する案件によっては、企業が保有している不動産などを担保にしたり、保証人を設定するなどして、投資家へのリスクを最小限に抑える為のリスクヘッジも行っています。
もし、倒産した場合には、その担保や保証人の資産で賄う訳ですが、全ての資金が分配されることは殆どありません。例えば、不動産であればその不動産の価値が低下していたり、他から資金調達などしていれば、抵当権に入っていることもあり、その順番が投資家のほうが低ければ、回収金額はその分少なくなります。
貸し倒れリスクの対処法
基本的にソーシャルレンディングは、金利が高い案件が数多く紹介されています。
金利が高いということはそれだけリスクが伴い、貸し倒れのリスクが高いのですが、それを防ぐための対処法としては2つあります。
・信用できるソーシャルレンディング会社と運用実績が公開されている、保証が付いている案件を選ぶ
案件を紹介するソーシャルレンディング会社、投資先の企業の詳細や、保証が付いている案件を選択することも必要です。
・余剰金で少額を分散投資する
リスクが高いからこそ、一発勝負するのはただの投機になりますので、少額を分散して投資すれば、金利は高くてもリスクが減らせます。
ソーシャルレンディングの資金固定リスク
資金固定リスクとは
ソーシャルレンディングでは、どの案件においても必ず、一定期間貸し付けることになります。資金を貸し付けることで、リスクに見合った金利が得られますが、貸し付けた資金はそのまま固定されることになります。
つまり、途中でなんらかの都合で、貸し付けた資金を現金化しようとしても出来ない仕組みになっているのです。貸し付け期間は案件によってバラバラですが、短期であれば数ヶ月ほどですが、長期になれば数年単位で資金が固定されますので、その間は自由が効かない投資です。
ソーシャルレンディングは、資金が固定されるということは、貸付先企業がどのような事態になってもただ見守るしかありません。
資金固定リスクの対処法
貸し付ける資金が、一定期間固定されるということは、その期間は何があっても対処できません。ですから、高い金利に惑わされずに、自分にとってどの程度投資できるのか資金を算出して、無理のない投資資金で行うことです。
一番の対処法は、そのお金が最悪返ってこなかったとしても、生活に支障が出ない余剰金で投資しましょう。
そして、長期間固定される案件であるほどリスクが高いことから、短期間案件に集中して行うことでも対処できます。
例えば、短期間の案件に少額を分散して複数投資することで、資金固定リスクと一極集中リスクを減らして、資金を回すという方法もあります。短期間であれば、あまりお得感は無いかもしれませんが、その都度手元に資金が戻ってくるので、それをさらに条件の良い案件に再投資していくことも可能です。
ソーシャルレンディングの投資先不明瞭リスク
投資先不明瞭リスクとは
ソーシャルレンディングで紹介されている案件は、肝心の貸付先企業の詳細が公開されていません。
投資において、投資先がどんな対象なのか、どのような実績(業績・利回り・価格など)があるのかを知ることは、最も重要な判断材料となります。
公開されていない理由としては、明確に貸し付ける企業が分かっている状態で、個人投資家が貸し付けてしまうとそれは「賃金業」として扱われてしまうからです。賃金業を行うには、法律に従い貸金業者として登録などをしなければいけないので、かなり面倒なことになります。
そこで、個人投資家が簡単に資金を貸し付けできるようにする為に、匿名での公開となっているのです。こうした事実から、投資対象の実態を知らないまま、投資するというリスクを負っています。
投資先不明瞭リスク対処法
企業の実態がよく分からない状況なのはみんな同じなので、それならその案件を紹介しているソーシャルレンディング業者を選定することで対処できます。
例えば大手老舗の「SBIソーシャルレンディング」では、法人向け貸し倒れはこれまで0件です。リスクが高いと言えども、ソーシャルレンディング会社によっては、扱う案件に対して厳しい審査を行い、信用できると思われた案件を公開しています。
また、証券会社として第一種金融商品取引業者として運営していたり、大手金融会社と業務提携、さらにランキングや口コミなどの評判からも判断できます。
信頼できるソーシャルレンディング会社を見つけることが、何よりも投資先の不明瞭リスクを最小限に抑えてくれます。
ソーシャルレンディングの流動性リスク(途中解約ができないなど)
流動性リスクとは
ソーシャルレンディングでは、流動性が低いというリスクがあります。
流動性とは、元本保証されていて、すぐに現金に換金できる、またはすぐに取り出せる状況にあるかの度合いです。ソーシャルレンディングでは元本保証がなく、貸し付けた資金が、その案件で決められた一定期間中に返ってくることはありません。これは、一旦貸し付けた資金は、その企業が定めた期間を貸すという合意のもと行われるため、途中解約が出来ない仕組みになっているからです。
ただ、中には例外で貸し付けた企業側の都合によって、満期よりも早く資金が返還されることがありますが、基本的に、ソーシャルレンディングは途中解約ができないという、流動性の低さが大きなリスクの1つとなっています。
流動性リスクの対処法
この流動性の無さに対処するには、3つ方法があります。
1つ目は、余剰資金で行うことです。
金利が高いからと言って、流動性0のソーシャルレンディングに、生活資金まで投入して行うのはかなりリスクが高いので、必ず余剰資金で行うようにしましょう。
2つ目は、少額を分散して投資することです。
あくまで余剰資金で、少額をいくつかの案件に分けて投資することで、1つの案件が最悪貸し倒れになっても、資金回収の可能性が高くなり、全額投資するよりもリスクが分散されます。
3つ目は、ラダリングを行うことです。
ラダリングとは、案件ごとに決められた満期を、自分の手元に常に現金が残るように満期を考えて、投資していく手法です。
この方法なら、流動性が低くても手元に現金を引き出しやすくなります。